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漆の成分、及び、良し悪し について
よく 日本産の漆は良質だと言われますが、その根拠について説明させていただきます。漆はウルシオールという成分を含んでおり、その含有量が多いほど固化しやすくなっています。ウルシオールの含有量が日本以外の東南アジアのものと較べて日本産が多いために、日本産の漆が良質だと言えるのです。しかしながら、漆の木が育つには少なくとも10年以上の歳月を要し、また、漆を採取した後は伐採するしか方法がないため、日本産の漆は大変高価になっており、高価な漆器でも日本産と海外産を混ぜて使用することが多いです。中国やベトナムなどの漆は固化する力が弱いため、完成後の「漆風呂」での乾燥が重要になります。ご存じの方も多いと思いますが、漆は湿気によって固化します。そのため、湿気を含む漆風呂というものでの乾燥作業が重要になってきます。
第40回日本伝統漆芸展
今回、店主の地元である会津若松市で開催されました。 最終日の本日2023年4月23日は人間国宝の室瀬和美さんの紹介ビデオとご本人の講演があり、漆器の奥深さを改めて知ることができました。 室瀬さんは、岩手県浄法寺に工房を構え、なんと漆掻きもなさることを知り、驚愕しました。また、美術品の修復作業に関わることもあって、先人たちが使用した金粉が現在より粒子が荒くて、それによって豊かな表現が生まれていることを知り、ご自分でも粒子の荒い金粉を作られるそうです。 更に、漆が1万年前から土器に塗られていて、それが今も残っていること。ご友人でもあるスキーヤーの三浦雄一郎氏が80歳でエベレスト踏破に挑む際、食べ物の保存方法について相談され、熱伝導率が低く、外気の気温に左右されない漆器の特徴を説明し、それを持参してもらい、エベレスト踏破に一役買ったと大変感謝された逸話などを披露されました。 日本に持ち帰ったその漆器は、ザラザラした雪で洗ったりしたので表面は少し傷ついてはいたがそれ以外の損傷がなかったそうです。 室瀬さんの飾らないお人柄と、説得力のあるお話に引き込まれました。 漆芸作家・重要無形文化財保持者の […]